2018年 08月 01日 ( 1 )

敬天愛人。

友だちが招待してくれ、ともに観に行くことができたNHK大河ドラマ特別展「西郷どん」@東京藝術大学大学美術館(上野)。

その日は酷暑のど真ん中。

汗が滝のように流れ落ち、紫外線を受けまくった肌がヒリヒリして、意識が朦朧としてくる……。

腑抜けたわたしの顔を見て「暑い日に誘っちゃってごめんねー」と、しきりに謝ってくれた友。

いやいや、とんでもない。

誘ってもらって本当によかった。

そうじゃないと出不精のわたしは、素晴らしい展示を見逃すところでした。

ひとりだったら暑さにひるんで、涼しい場所でゴロゴロしてるだけだった。

展示されていたのは生い立ちから、交友関係から、歴史背景から、最期の瞬間まで、あらゆる角度から取り取られ、NHKの総力を挙げて取材・構成された西郷隆盛の人生

大河ドラマで西郷の盟友・大久保利通を演じる瑛太さんによる朴訥とした音声ガイドもいい感じでした。

声も、表情も、そしてきっとスピリットも、すっかり薩摩隼人な気がする瑛太さん。

本当によい役者さんです。


膨大な資料のなかでも、とくに印象的だったのは西郷さん直筆の手紙。

あの恰幅のよさからは想像もつかない、丸っこいクセのあるかわいらしい文字です。

さらに愛犬に大好物のうなぎを分け、ともに食べたというエピソードからは、彼の優しい人柄が伝わってきました。

罪人として流刑になった奄美大島では、最愛の女性と出会い、子も授かり、さらには「敬天愛人」という悟りの境地に達した西郷さん。

読んで字のごとく、天を敬い人を愛する思想です。

たとえ極貧であっても、愛しい家族がいる自然豊かな場所で生きられたら、きっと幸せな人生だったはず……。

けれど愛する人たちを貧困から救うには、そこにいてはダメだと知っていたし、必要とされる限り、国(薩摩)のために働きたいという御恩と奉公の武士道精神が悲しいくらいに染みついていたのでしょう。

まさに西郷さんこそ、ラスト・サムライだね。

歴史の渦に飛びこんだというより、巻き込まれた人なのだろうなあ…などと思いながら、しみじみと展示を見て回りました。


彼にゆかりのある上野という場所で、激動の幕末や遠い薩摩に想いを馳せた7月某日。

おいしいものを食べたり、何気ないおしゃべりをするのももちろん楽しいけれど、文化的なひとときを共有できる友との時間は幸せだ♡

いつか、西郷さんの足跡をめぐるべく、鹿児島や奄美大島にも行ってみたいものです。


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by youyounote | 2018-08-01 00:46 | つれづれ | Trackback

熊本出身・東京在住のライター・作家、高倉優子の仕事や日々のこと。エンタメ系インタビュー、エッセイ、書評等を執筆する。著書に児童書『学校犬バディ いつもいっしょだよ! 学校を楽しくする犬の物語』(角川つばさ文庫)がある。読書会「東京女子書評部」主宰。アンアンウェブ 公式アンバサダー。「本棚ダイアリー」連載中。youyounote@yahoo.co.jp


by 高倉優子