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彼はどこで眠るんだろう?

中国系マッサージ店にときどき行く。

中国人のお兄さんは日本語がまったくしゃべれない。
でもそれはイコール、

「今日はいいお天気ですねぇ」とか
「お客さん、お疲れぎみでしょう?」

なんて、お愛想話もしなくて済むということ。
わたしにとって、それはとても心地いい時間。

彼はわしわし体をほぐしていく。

力強く、けれど的確に。

わたしの凝り固まった体はみるみるうちに柔らかくなっていく。

「どこがお疲れですか?」と聞かれ、「肩です」などと答えて
他の場所をおなざりにされるのは、よくある話。

だけど、彼は違う。

話せない分、手先や指先で凝りを見つけ出し、
ちゃんとほぐしてくれるのだ。

体が十分にほぐれた後は、足裏マッサージへ。

これがまた本当に上手で驚いてしまう。

修練のたまものかもしれないけれど、
きっと彼には天性のセンスがあるのだと思う。


施術を終えたあとは、重い兜を脱いだようにスッキリ。

空も飛べるかも……ってくらい体が軽くなる。


そしてお茶と一緒に山楂餅(シャンジャーズビン)を味わう頃、
わたしの幸せ度はマックスになっている。

山楂餅とは、サンザシの実を潰して砂糖や寒天と混ぜ、
乾燥させた中国のお菓子。

コインみたいに薄くスライスしてあり、
口に入れると甘酸っぱい香りが広がって、しみじみおいしい。

わたしが「これ、好き!」と言いながらパクパク食べていたからか、
お会計を終えて帰るとき、テーブルに置かれた山楂餅を3つ持たせてくれた。

他のスタッフにバレないように、そっと……。

笑って会釈して、わたしはいそいそとエレベーターに乗り込んだ。

言葉を交わさなくても伝わるものがある。
通じ合える。

けれど、わたしはふいに聞いてみたくなった。

「あなたはどこに住んでいるの? 
店の営業が終わり、終電もなくなったとき、
どうやって家に帰るんですか?」

眠らない街で働く彼ら(外国人)にも、
快適なベッドがありますように。

心落ち着く場所がありますように。

そう願いながら、夜更けの246を自転車で走った。


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by youyounote | 2019-05-04 13:18 | つれづれ | Trackback

熊本出身・東京在住のライター・作家、高倉優子の仕事や日々のこと。エンタメ系インタビュー、エッセイ、書評等を執筆。著書に児童書『学校犬バディ いつもいっしょだよ! 学校を楽しくする犬の物語』(角川つばさ文庫)がある。読書会「東京女子書評部」を主宰。野菜ソムリエや、全日本あか毛和牛協会認定「あか牛大使」としても活動する。youyounote@yahoo.co.jp


by 高倉優子