みんなの子はわたしの子。

わたしが「文字にまつわる」仕事に就きたいと思ったのは小学5年生のころ。

運動が大すきだったので、スポーツ選手か、スパイか(スパイって!笑)、文章系か迷ったけれど、作文を褒められることが多かったので、じゃあ、文章かなという感じで決めた。

でも、オトナに言うと「え?」と言われるだろうなと思ったので(オトナの顔色を読むのが得意な子どもだったから)、彼らに違和感を与えないように「パン屋さんになりたいです」などと平気でウソをついていた。

しかも若いうちに結婚して、子どもを3人産みたいです、とかも作文に書いた。

もちろん、そんなつもりはさらさらなく……。とはいえ、子どもはいつか産むだろうなあーくらいには思っていた。

でも産まなかった。
ほかに夢中になることがあったから。

それに寂しくはないのだ。
だって、わたしにはたくさんの子どもがいるから。

以前のエッセイにも書いたけれど、友だちの子や、親戚の子や、姪っ子や甥っ子たちは、自分の子どもだと(勝手に)思っているのだ。

日ごろの責任は負わないくせに勝手だな、と言われてしまいそうだけど、要は気持ちの問題なわけで……。


閑話休題。


先日、近所のスーパーで買い物しようと駐輪場に自転車を止めると、どこからか子どもの泣き声が。

ええ? どこから聞こえてくるの?

よく見ると、あるママチャリの荷台がもそもそと動いています。

あ、いた!

すっぽりと合羽にくるまれるようにして子どもが座っていたのでした。

そのとき、通りかかったおじさん集団が、なんだなんだと自転車の周りに集まってきました。

もしおじさんたちが声をかけたら、子どもが怯えてしまうかもしれない……。

そう思ったわたしは、とっさに合羽のファスナーをおろして、「どうしたの?」と声をかけました。

小さな女の子が、涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔をゆがめて泣いています。

「ママはお買い物に行ってるのかな? きっと寝ていたから置いていったんだろうね。大丈夫だよ、すぐ帰ってくるからね。お姉さんと一緒に待ってよう!」(自分で「お姉さん」というとき、ちょっとためらった。笑)

女の子は答えるすべもなく、ひっくひっくと、しゃくりあげています。

「チーンしよっか!」

わたしはティッシュを取り出して女の子に見せました。

「ほら、ミッキーマウスがついてるよ。かわいいでしょ?」

パッと目の色が変わりました。さすがのミッキーパワー✨

「いくつ?」
「4歳……」

涙のしずくと鼻水を拭いたら、すっかり涙も止まりました。

ああ、よかったー!

ふと横を見ると、おじさん集団のうち、ひとりのおじさん(推定65歳)が立っています。

「これ、使ってよ」とティッシュを渡してくれました。

住宅メーカーがPRのために配ったもの。

(ティッシュは足りてるんだけどなあ)

そう思いつつも、気持ちが嬉しかったのでありがたく受け取りました。

と、そのとき、「すみませーん!」とママさんが帰ってきました。

「ごめんなさい、この子が爆睡していたから連れて行けなくて……」

わたしたちは何も言っていないのに早口で謝るママさん。

「おりこうにして待ってましたから。だいじょうぶですよー」

と、伝えていると、まだ隣にいたおじさんが「かわいそうじゃないか!泣いていたんだよ!」と言いました。

確かに、事件に巻き込まれたら大変だし、おじさんの言うこともごもっともです。

でもパパッとお買い物を済ませたかったママさんの気持ちもよくわかる……。

真ん中に立ち、名実ともに板ばさみのわたし。

でも女の子はママが帰ってきて、ホッとした顔をしていた! よかった!

おじさんも立ち去り、わたしも女の子に声をかけました。

「じゃあね、バイバイ!」

その場を離れると「すみませーん!」とママさんが追いかけてきました。

手にはわたしが女の子にあげたミッキーマウスのティッシュが握られています。

「これ、ありがとうございました。きょうティッシュをたくさんもらったから、これもどうぞ」

というわけで、おじさんに続いて、またもやティッシュをもらっちゃった!

そこに書かれていたのは「どうしたの? ひと声かける思いやり」という標語でした。

民生委員100周年、児童委員70周年を記念して作られたPRのティッシュ。

なんという、おあつらえ向きの贈り物でしょう。

まるで、ドラマみたいだ!笑

そしてやっぱりこう思ったのでした。

「みんなの子はわたしの子」だと。

がんばれ、ママたち。
わたしもわたしでがんばるよ!

▼左がママさんから、右がおじさんからもらったティッシュ。ペンギンのイラストまで今回のシチュエーションと同じでびっくり!笑

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by youyounote | 2017-11-09 14:35 | つれづれ | Trackback

熊本出身・東京在住のライター・作家、高倉優子の仕事や日々のこと。エンタメ系インタビュー、エッセイ、書評等を執筆する。著書に児童書『学校犬バディ いつもいっしょだよ! 学校を楽しくする犬の物語』(角川つばさ文庫)がある。読書会「東京女子書評部」主宰。アンアンウェブ 公式アンバサダー。「本棚ダイアリー」連載中。youyounote@yahoo.co.jp


by 高倉優子