美しい女性。

大好きだった伯母が旅立って、少しの時間が過ぎました。

葬儀など一切のことを終え、自宅に戻った伯父と電話していたら、「おばちゃんがな、ちょっと出かけていて『ただいま』って帰ってくるような気がするんや」と言っていた。

「そうだね」と相槌を打ちながら、わたしは伯母が旅に出ているところを思い浮かべました。

ぽかぽか暖かくて、街のあちこちに音楽が流れていて、お年寄りも赤ちゃんもみんな笑って踊っている……そんな場所におばちゃんはいるんだ。

そう思うと、ちょっと嬉しい気持ちになりました。

伯母は、はつらつとした身も心も美しい女性でした。

気働きができ、柔和で気さくで、誰のことも悪く言わない人。

周囲をよく見ていて、でしゃばらず、自分の意見をきちんと言える人。

情熱家の伯父と心から愛し合っていて、支え合っていて、人生を謳歌している人。

ハーモニカの先生で、卓球プレイヤーで、親戚の集いではダンスやお芝居を披露するエンターテイナーでもありました。

わたしが最後に(しっかりと)会話したのは、7月のある日。

『学校犬バディ』と一緒に、ワンちゃんのクッキーを送ったとき、お礼の電話をかけてくれたのです。

「こんなにかわいいクッキー、おばちゃん、食べられんわぁ」

いつも通りの優しい声。
病魔と闘っていたなんて、とても思えない柔らかな響き。

そのときのわたしは全然知らなかったけれど、伯母は入院していたのでした。

エンターテイナーの伯母にとって、お芝居はお茶の子さいさい。
なんて悲しくて、なんて優しい嘘だったのでしょう。

いったい何を話したんだっけ……?

たぶん、他愛ないことをつらつらしゃべって、「じゃあ、またね!」と電話を切った気がする。

もっともっといろんなことが話したかったな。

何回聞いても笑ってしまう、伯父とのお見合いのエピソード、また聞かせてほしかった。
(この話は、伯父サイドからもよく聞いて、いつか何か文章にまとめたいと思います。それくらい面白いのです)

でもたくさんの思い出を残してくれたこと、いまはただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

旅立ちの前に、顔が見られて嬉しかった。
一緒に「ふるさと」が歌えて本当によかった。

涙があふれてしまって、あまり気のきいたことがいえなかったのが心残りだけど。

伯母の優しい顔や声を思い出すと、どうしようもなく泣けてきてしまうけれど。

何十年も会っていなかった従兄弟たちと再会できたり、彼らに素敵なパートナーがいて、かわいい子どもたちが生まれていることがわかって幸せでした。

これからは、伯母がつないでくれたこの縁を大切にしていきたいと思います。

▼このクッキーを送ったのでした。おばちゃん、味見してくれたかな? よく見たら、おじちゃんとおばちゃんみたいな仲良しワンちゃんだ。

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by youyounote | 2017-09-20 16:52 | つれづれ | Trackback

熊本出身のライター・作家、高倉優子の仕事や日々のこと。エンタメ系インタビュー、エッセイ、書評等を執筆する。著書に児童書『学校犬バディ いつもいっしょだよ! 学校を楽しくする犬の物語』(角川つばさ文庫)がある。読書会「東京女子書評部」主宰。アンアンウェブ 公式アンバサダー。「本棚ダイアリー」連載中。youyounote@yahoo.co.jp


by 高倉優子