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真梨幸子さんの短編集『お引っ越し』。

わたしは、現在住んでいる賃貸マンションに5年前に入居しました。
内覧したとき、「前に住んでいたのは、すごく感じのいいお兄さんだったよ」と、不動産屋のおじさんに聞きました。

そのお兄さんは新築物件だったこの部屋に4年住み、家を買う予定だからと引っ越していったそうです。

わたしを案内するとき、不動産屋のおじさんは、

「その人はね、このあたりにベッドを置いて、ここらへんにデスクとかテレビを置いていたよ」

と、なぜか細かな情報をくれたのでした。

その部屋がすっかり気に入っていたわたしは、おじさんの説明などあまり聞きもせず、「わあ、こんなところに○○がある!」とか、「日当りがよくて嬉しいなあ」とか、家の設備にだけ気を取られていたのです。

そして即決して住み始めたわけですが、真梨幸子さんの最新作『お引っ越し』を読み、インタビューさせてもらったあとで、

「しまった!もっと彼(前の住人)のことを聞いておけばよかった!!!」と思いました。

なぜなら真梨さんが、「前に住んだ人の念って、なにかしら残っている気がするんです」とおっしゃっていたから……。

わたしは鈍感なのか何も感じないけれど、壁のシミが人の顔に見えたり、、、なんてよくあるお話。

6話からなる短編集『お引っ越し』には、そんな「引っ越しあるある」「新居あるある」が詰まっています。
ちょっと怖くて、不思議なお話。

いや、「ちょっと」じゃないなあ。
だいぶ、怖い!(笑)。

真梨さんが体験したことも、いっぱい詰まっているそうで……。

書店などで入手できる角川書店のPR誌「本の旅人」(4月号)で、『お引っ越し』についてのインタビューを担当させていただきました。

どんな体験談なのか、どんな思いで綴られたのかなど、いろいろお聞きしましたのでぜひ手にしてください!
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都市伝説とか、心霊写真が好きな人はぜったいハマると思います。

ある有名なヒット曲のフレーズが印象的な使われかたをしているのですが、わたしは、そのフレーズが耳から離れず、読み終えたあともしばらくは、ずっと脳内リフレインしていました。

それがまた、怖いのー(笑)

すっかり真梨さんに魅せられたわたし、取材後に彼女の小説をあれこれ読んでいます。
現在は『5人のジュンコ』(徳間書店)を読書中。

こちらは「イヤミス」ど真ん中!

ああ、ページをめくる手が止まらない。
なんて、毒々しい物語なんだ。

どのジュンコも、このジュンコも一筋縄ではいかなくて……。

なかでも、ある「ジュンコ」とわたし自身がめちゃくちゃシンクロするから、余計にイヤ。
自分のなかにある、とても表には出せない「本音」の部分が、読み進むたびに浮き上がってくるのです。

占い師に「あなた、じつはこういう人でしょう?」って言い当てられちゃった気分。

真梨さんが描く女にリアリティがあるのは、誰もが持っている「負」の感情を、「こんなこと書いたら嫌われる」なんて、みじんも思わずに、どストレートに描くからでしょう。

まったく遠慮なんかせず、ズバズバ言い切る。

「わたし、こういう人がキライ!」という思いにきっちりフタしていたはずなのに、そのフタを容易に開けて、真っ裸にされるのです。

鮮やかな筆致、構成力、観察眼……。
すごいな、すごいぞ。

またまたすばらしい作家さんと、出会ってしまったよ。

真梨さんご本人はマリメッコの素敵なワンピースを着こなす、かわいらしい女性でした。
そして、小気味よく、感じよく、きちんと「本音」で語ってくださるかたでしたよ。

ときどき、ツイッターをのぞかせていただいているけれど、さらさらと綴られた身辺雑記なのに、明らかに、ほかの人(作家含め)の文章とは違うんです。

限られた文字数のなかに、グッと心を掴まれる文言が入っている。

嘘がない。
飾りがない。

やっぱり、どんなに取り繕っても、文章には人柄が出てしまうものなんですね。
というわけで、今後も、真梨幸子さんの小説とツイートを楽しみにしたいと思います!

少し、落ち着いてきたので、もっともっと読書しよう。
あと、最近読んで心を動かされた小説の感想も、近々アップします!
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by youyounote | 2015-04-19 22:10 | お仕事 | Trackback

熊本出身・東京在住のライター・作家、高倉優子の仕事や日々のこと。エンタメ系インタビュー、エッセイ、書評等を執筆。著書に児童書『学校犬バディ いつもいっしょだよ! 学校を楽しくする犬の物語』(角川つばさ文庫)がある。読書会「東京女子書評部」を主宰。野菜ソムリエや、全日本あか毛和牛協会認定「あか牛大使」としても活動する。youyounote@yahoo.co.jp


by 高倉優子