飛鳥井千砂さんの文庫解説。
飛鳥井千砂(あすかい・ちさ)さん著『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫、630円)の文庫解説を担当させていただきました!
飛鳥井さんといえば、巨大モールを舞台にした連作短編『タイニー・タイニー・ハッピー』(角川文庫、通称・タニハピ)のベストセラーでおなじみですが、そして私自身も大好きでもありますが、
それ以前にも素晴らしい作品をたくさん発表されていて、私は勝手に「連作短編の女王」と呼ばせていただいています。(「冬歌の女王」みたいですが。笑)
どの短編も、それぞれ「何か」を抱える登場人物たちの目線に下りて、寄り添って、伴走して、一緒にゴールテープを切るような……母性にも似た優しさがある!(とこれまた勝手に思っておりまして)
読むと、すごく救われる。ホッとするんです。
今回の解説では、『君は素知らぬ顔で』の内容はもちろん、飛鳥井さんとのご縁について書かせていただきました。決して運命論者ではありませんが、ときどき、「ああ、ご縁があるな」と思う方っていて、その縁はなぜか長く続いたりするんですよね。
飛鳥井さんには、またまた勝手に、そんなご縁を感じています。
『君は素知らぬ顔で』は6話からなる短編集。
6人の主人公たちは、さまざまな問題を抱えています。
そしてその問題がすべてスッキリするわけではないけれど、柔らかな希望の光が射す物語であることが特徴です。
(子役出身の人気女優「ゆうちゃん」がキーパーソンとして登場。各話は少しずつ繋がっている作りです)
個人的には「水色の空」の主人公・純子を「あなた、痛いよ!」と思いながらも、どこか自分と同じ匂いを感じました。
そして、自分の弱さや痛さや平凡さを認めると、生きることが少しラクになるなあ、とも。
そういえば、取材させていただいたとき、飛鳥井さん、そして担当編集者のNさんとともにガールズトークで盛り上がったのでした。
「こんな人、いますよね~」と。
とにかく、女性も男性もリアリティが半端ない!
きっと自分や知り合いに似た誰かを見つけて、グッと身近に感じるはずです。
というわけで絶賛発売中ですので、ぜひともお手にしてくださいませ!!!
もうすぐ小さな旅に出るので、飛鳥井さんの文庫新刊『海を見に行こう』(集英社文庫、483円)をお供にしたいと思っています。読みかけだけど、こちらもすごくいい♪
この本も、読後、誰かと語り合えたらいいなあ。
ps、飛鳥井さんの文庫は装丁もステキ☆ 現在、リビングの本棚にインテリア風に飾らせてもらっています。