たけしのニッポンのミカタ!
タイトルは、「21世紀の幸福論 ニッポン人は不幸なのか!?」。
バブル期を経験した40代以上の世代は、当時をこんな風に振り返る。
「毎晩飲み歩いていても妻子を養えてお金も余っていた」
「夜な夜なディスコで楽しく踊っていた」
「入社してすぐ上司に銀座に連れて行ってもらえた。でもいまはそうしてあげられなくて申し訳ない」
などなど。
ほとんどの人が口を揃え「いまの若者は自由になるお金も少なく、不幸だ」と言っていた。
幸せ=お金、という価値観が定着している世代なのだろう、とコメンテーターたちは語る。
けれど、当の20代たちは、概ね、自分のことは幸せだと感じていて、世代間で大きなギャップがあった。
彼らが幸せと感じるのは、
・休日に家でゴロゴロしているとき
・お風呂に入って温まったとき
・朝起きて、顔を洗い「よし、今日も始まるぞ!」と思うとき
・コンビニで買ったシュークリームがおいしかったとき
など、とても日常的なこと。
2人の20代男女に密着取材していたけれど、その様子も非常に興味深かった。
アルバイトの男性は、神奈川の1Kのマンション(家賃5万円)に彼女と同棲中で、
毎日、彼女が作ってくれる食事を食べ、たまにファミレスなどで外食するのが幸せと語る。
また、携帯ショップで派遣社員として働く女性は、古い団地(家賃3万円)に住み、
動画サイトに「踊ってみた」を投稿し、コメントをもらうのが幸せだという。
「自由な時間を奪われる正社員にはなりたくないし、恋愛・結婚したいとも思わない」と淡々と話していた。
つまり、幸せ=お金ではないということ。
もちろん、どんな時代にあっても多様な価値観はあるわけで、
お金儲けがしたい!いい車に乗りたい!素敵な異性と付き合いたい!というモチベーションを持つ人もいるだろう。
ただし、SNSをはじめ、ネットで人から「承認」されることが何よりも幸せと感じるあたりは、
生まれたときからネットが繋がっていた世代ならでは、なのかもしれない。
(「いいね」を欲しがるオトナもたくさんいるけれど)
わたしはちょうど狭間の世代だからか、MCの国分太一さんが「もっと希望を持てよ~!」と叫ぶたび、
なんだか妙な親近感を抱いてしまった。
20代代表(であろう)ゲストの鈴木奈々さんが
「彼氏と行く旅行も、箱根とか伊豆とかで十分。海外旅行には行ったことがない」と言うのに対し、
「海外でしか感じられないことも、たくさんあると思うんだけどなあ」としみじみ語る国分さんに、またしても同感。
わたしは旅することで自分の存在のちっぽけさ、英語力(コミュニケーション能力)の低さを痛感し、
さらには日本という国がもっと好きになれた経験があるから。
とはいえ、20代が感じる「ちいさな幸せ」はわたしも理解できる。
たとえばバブル期にステイタスの象徴とされた
「高級外車」や「ブランド品」や「高層マンション」などにはまったく興味がなく、
もちろん、クリスマスに高級レストランやホテルに連れて行ってもらった経験もない。
さらに、高級店ではなくても、感じのいい手頃なレストランで食事をするので十分だし、
本当に「ちいさな日常」が幸せだな~と感じる。
それでいいじゃん。多くを望まなくても、、、と思うのも納得できる。
ところが、番組後半、経済評論家の平野和之さんが
「幸せと感じる若者が多くなればなるほど、日本経済は破滅に向かって行く」と指摘しているのを聞いて、ハッとした。
そうか、それじゃあダメなんだ、と。
毎年、借金が膨らみつづける日本の逼迫(ひっぱく)した経済に無関心な若者たちが、デフレスパイラルを助長している、というのだ。
経済破綻したギリシャも、破綻する直前まで国民の多くは自分たちは幸せと感じていたという。
(ヨーロッパのなかで、「幸せアンケート」は第2位だったそうだ)
番組では結局、「こうすればいい」という結論は語られず、
北野武さんの「時代に合わせて価値観を変えていくしかないってことだな」というコメントで締めくくられた。
あとは考えて自分で動け、というわけだ。
経済オンチのわたしには、自分がどうすればいいのやら、さっぱりわからなかったけれど、
ただひとつ、向上心と好奇心だけは失わずにいようと思った。
仕事でのモチベーションがお金を生み、経済活動の一助になるだろうし、
経済を知ろうとすることで知識不足を補え、
自分なりに若く美しく健康でいたいという気持ちが気力と体力を維持させる。
そうやって元気でいることが国を支える中核となるわたしたち世代にできることなのかもしれない。
でもやっぱり苦手意識を克服して、もうちょっと社会全体のことも勉強しなくちゃいけないなーとも思う。
▼番組ホームページより。テレビ東京で毎週金曜日22時から放送中。